特派員ブログ

日本一の灯籠は、どこから見える!? 東西南北・こんぴら遠望探検隊、出動

「駅に着いたぞ。さあ、参道へ」

こんぴらさんに来たら、目指すのはもちろん石段の先。琴電琴平駅で電車を降りたあなたは、きっと迷わず参道へ歩き出すはずです。

ちょっと待ってください! 駅を出て、ほんの少しだけ左を見てください。松の木ごしに、木でできた背の高い塔が立っています。高灯籠(たかとうろう)です。

じつはこの塔、「遠くから見られること」こそが仕事でした。……だとしたら、今はいったいどこまで見えるのでしょう。気になった私は、東西南北から高灯籠を探す探検に出ることにしました。

 

1. これは「見られるため」の27メートルです

まずは足もとから確かめます。

高い石垣の上に立つ高灯籠。木造の灯籠としては日本一の高さです

完成したのは1860年、幕末のことです。高さは27メートル。木造の灯籠としては日本一の高さで、国の重要有形民俗文化財に指定されています。高い石の基壇(きだん)の上に木の灯台が載り、内部は三階建て。裾が広がる裳裾(もすそ)のような曲線は、木造の建物としては異例のかたちだそうです。土台の石垣も見事で、丸亀城の石垣に勝るとも劣らないといわれます。

大事なのは、何のために建てられたかです。これは金刀比羅宮に毎晩あかりを献じる「献灯」であると同時に、夜道を行く人たちの標識灯でもありました。金毘羅街道(こんぴらかいどう)を歩く旅人にとっては、灯台のような存在だったのです。そこから放たれる光は、丸亀沖の船にまで届くように設計されていたとも伝えられます。

つまり高灯籠は、遠くから見えてこそ意味のある建物でした。では、今は――。

なお、内部を見学することはできません。外から眺める建物です。

 

2. 南から、北から。探検隊、幸先よく二連勝

最初に向かったのは南側、金倉川(かなくらがわ)のほとりです。

南から。橋の欄干の向こう、松のあいだに高灯籠の屋根が見えます

……いました。欄干の向こう、松のあいだから、あの屋根がのぞいています。白い部分にあかりの窓、その上に反りのきいた屋根。川面にもまちなみが映って、なかなかの一枚になりました。

ただ、正直に言えば、ここはまだ近いのです。灯台を名乗るからには、もっと遠くから見えてほしい。探検隊は北へ向かいました。

北から。板塀と電線の向こう、思いがけない高さに屋根が現れました

黒い板張りの建物の向こう、電線をまたいだ先に、ぽつんと屋根。あたりに高い建物がないぶん、ここではよく見えました。松の梢(こずえ)に半分隠れながらも、白い部分とあかりの窓まではっきり確かめられます。

二連勝。このぶんなら、東も西も楽勝だろう――そう思っていました。

 

3. 西へ、東へ。だんだん小さく、ついに陸橋の上へ

夕方、西側にまわってみます。

西から。夕暮れの逆光のなか、ビルのすきまに小さなシルエットが

ビルとビルのすきまに、小さな影が浮かんでいました。背後には、遠く讃岐の山なみ。27メートルもあるはずの塔が、ここまで小さくなってしまうのかと、少しさびしくなります。

そして東側。ここが、いちばんの難物でした。

東から。陸橋の上からやっと。象頭山のふもとに黒い屋根がひとつ

屋根、屋根、屋根。象頭山(ぞうずさん)の深い緑を背にして、瓦屋根がいくつも折り重なります。JR琴平駅の南にある線路をまたぐ陸橋に登ってやっとそのなかに黒い屋根を見つけることができたのですが――はたしてこれを見えたと言って良いものなのかどうか。探検隊(一人ですけど)はなんとも言えない気持ちになりました。

半日歩いてわかったのは、こういうことでした。今の琴平で高灯籠がはっきり見えるのは、かなり近くまで寄ったときだけ。建物が増えたぶん、27メートルは静かに埋もれてしまったのです。

でもこれは、まちを責める話ではありません。あかりを頼りに夜道を歩いた時代が終わり、その跡地に家が建ち、人が暮らしを重ねてきた。その積み重ねが、灯籠を隠しているのですから。

 

まとめ:あなたの「目撃情報」を募集します

というわけで、遠望探検隊の調査結果は「近くまで行けばよく見える」という、われながら少し情けないものになりました。

そこで、あなたにお願いがあります。

「ここから高灯籠が見えたよ」という場所を、ぜひ教えてください。

とくに知りたいのは、いちばん遠くから見えた場所です。町内でも、町の外からでもかまいません。田んぼの真ん中から、車の窓から、山の上から――どこでも大歓迎です。

江戸時代には、丸亀沖の船にまで届いたというあかり。令和のいま、その姿はどこまで届いているのでしょうか。探検隊はまだ、まちを歩いています。

次にこんぴらさんへお越しのときは、参道へ急ぐ前に、少しだけ空を見上げてみてください。思いもよらないすきまから、あの屋根がのぞいているかもしれません。

カテゴリー:ことひら百景/歴史・文化

エリア:琴平

あと763段ある人